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eスポーツイベントのオンライン配信におけるポイント〜eスポーツの配信コンテンツとしての未来〜

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eスポーツ市場の現状

全世界で1,000億円以上!?これは、2020年におけるeスポーツの推定市場規模である(総務省発行「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」より)。国内市場規模で見ても、2020年には約67億円の実績、2023年には約150億円超にまで急成長すると予測されている。
参考:https://www.famitsu.com/news/202104/16217981.html

実は、弊社、株式会社フロンティアインターナショナルも、渋谷区が手がける中学生の部活動支援プログラム、『シブヤ「部活動改革」プロジェクト』 において、eスポーツ領域を支援していくことを発表している。具体的には、『シブヤ「部活動改革プロジェクト」 』内のパソコン部において、eスポーツカリキュラムを併設し、カリキュラム支援、会場・機材支援などを行う。今後は、中学生に特化したeスポーツ大会の実施も計画している。

こういった、企業の参画もどんどん増えているeスポーツ市場。振り返ってみると、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が発足し、日本における「eスポーツ元年」と呼ばれる2018年に始まり、2019年には、大規模な世界大会が日本国内で開催されたり、新しいプロチームが多く設立され、海外で活躍する日本選手が増えたり、と成長めざましいものがあった。2020年以降は、新型コロナウィルスの影響により、残念ながらオフラインの大会は軒並み中止になってしまったが、5G時代の到来とともにオンラインの大会が大幅に増えたことで、いま、eスポーツ界は、新たな局面を迎えている、とも言える。

eスポーツ配信のあり方

新型コロナウィルス感染拡大の状況を受けて、オンラインを取り巻く環境は、劇的に変化した。緊急事態宣言中、ビジネスも教育も芸能も、あらゆるジャンルにおいて、非対面・非接触を実現するオンラインが主流となった。そんな中、eスポーツも、それまでの「オフライン大会の単なる配信」から、「オンラインでの一配信コンテンツ」としての側面を強めている。そもそもeスポーツは配信で見ることが多かったのでは?と思われるかもしれない。

確かに、動画配信サイト上で大会の配信はあったが、無観客で配信メインでの見せ方が求められるようになったという意味では、大きな変化である。様々な動画プラットフォームで、あらゆる配信コンテンツが無数に台頭している時代、視聴者はその中からよりおもしろいエンターテインメントを選び取る。そうなると、娯楽という競争は、今後さらに激しくなることが予想される。eスポーツも、より魅力的なコンテンツとして発展していくには、これまでとは異なる配信上の工夫や演出が求められるのではないだろうか。本稿では、eスポーツならではの体験設計のポイント、ユーザーの満足度指標はいかにすると上がるのか、を、最近の実例から紐解いてみたい。

ゲーム自体のおもしろさ、興味から配信を見る人(主にゲーマー)もいれば、ゲームの中身などはよく知らずに観戦する人(ゲームをプレイしない人)にリーチする機会がいっそう増えることを考えると、より「幅広い一般層」を対象に、いかに「エンターテインメント性」を高めていくか、が課題となる。eスポーツにおけるエンターテインメント性をいくつかの切り口から捉えてみよう。

① ライブ感
eスポーツもスポーツ。スポーツ観戦の醍醐味といえば、いまどちらが勝っているのか?巻き返すチャンスはあるのか?という一瞬一瞬のスリリングな展開と、その状況をリアルタイムに見られること。熱量をもって、かつ適確にゲーム展開を伝えるため、見やすいカメラワークと、実況を行う解説者の選定には配慮する必要がある。
② 共感性
実際に戦っている選手が、どういう人物なのか、どういった実績があってこの試合に臨んでいるのか、その選手自体について知ることで、共感が生まれる。共感を抱くと、より試合に没入してもっと応援したくなる。そんなシンパシーも、楽しみ方には大きく影響する要因といえる。
③ 意外性
パズルゲームにしろ、格闘ゲームにしろ、eスポーツにおいて戦術性は重要。その戦術が、ゲーマーではない一般視聴者の想像も及ばないところもあり、一見不利に見えていた選手が、思いがけない反撃で一気に形勢が逆転したりする。その意外性も、観戦する側にはたまらない魅力となる。

こういったエンターテインメント性の見せ方が工夫されていた例を、最近の大会から紹介する。

実例① 「RAGE ASIA 2020」

「RAGE」は、株式会社CyberZ、エイベックス・エンタテインメント株式会社、株式会社テレビ朝日による運営。次世代スポーツ競技「eスポーツ」に様々なエンターテイメント性を掛け合わせて国内最大級eスポーツイベントを展開している。2020年8月に実施した「RAGE ASIA 2020」では全世界の出場選手をネットで結び、完全オンライン化を実現。司会者席に解説席をCGで合成した動画配信やバーチャル空間「V-RAGE(eスポーツ専用VR施設)」での動画配信など、新たな試みにチャレンジした大会である。

V-RAGEでは、会場の中央に大型画面が配置されており、みんなでそれを見て、サイリウムを振ったり、手をたたいたりして応援することができた。アバターに「RAGE ASIA 2020」のオフィシャルTシャツを着せて一体感を楽しむことも。バーチャルYouTuber(Vtuber)が応援実況する場面は、さながらオフライン会場のよう。優勝者が決定した瞬間には、会場内に打ち上げ花火が上がり、派手なライティングで盛り上げるなど、リアルでは難しいバーチャルならではの演出で、観客をおおいに盛り上げた。CyberZの発表によると、V-RAGEへのアクセス数は2日間で2万人を超えたという。
こういった新たなオンライン配信演出は、オフラインにも劣らない「ライブ感」の演出に大きく寄与したのではないだろうか。また、eスポーツの観戦において、よく課題と言われるのが、配信時間の長さである(ほんとに長い・・・!)。そこで、大きな大会でよく見られるのが、ダイジェスト版の配信だ。選手インタビューを抜き出して構成したり、意気込みや優勝者インタビューとその選手の戦いぶりをまとめた短めの動画を作成したり、ゲーム本編だけでなく、選手自体にフィーチャーしたパートを挿入するのも、「共感性」の増幅におおいに貢献すると思われる。

こちらもオンライン開催だった、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)主催「東京eスポーツフェスタ2021」でも、「太鼓の達人」に挑戦する、まさに超人級テクニックを披露した少年らが、等身大のコメントで喜びを表現する動画には好感が持てた。日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表の鴫原氏も、レポートで、ただプレイの映像を流すだけにとどまらない構成が良かった、と評価している。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000674.000006792.html
参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/shigiharamorihiro/20210216-00222608

実例② 「ResorTech Okinawa おきなわ国際IT見本市 2020」

一方、こちらは、eスポーツの大会ではないが、新しい観戦システム「ココロの視える化」により、新たな楽しみ方を創出した例。anno lab(あのラボ)とNTT西日本が、東レ×NTT共同開発の「hitoe®」を用いたプレイヤーの心拍や心電図、観客の声援をビジュアライズするシステムを共同開発して、「ResorTech Okinawa」にて発表。選手が特殊なウェアを着用して格闘ゲームに参加すると、選手の心拍数が表示され、興奮状態や緊張感などをリアルタイムに視聴者に共有できる、というもの。心拍数に加えて、ドキドキすると波形も大きくなり、選手の心理状態がまるわかり!まわりの応援が盛り上がると、プレイヤーの背後の炎が大きくなるなど、応援の大きさもビジュアル化した。

参考:https://www.youtube.com/watch?v=tJ7Js2BlMPk
参考:https://www.youtube.com/watch?v=UAJy04rq0h0&t=163s

激しくなる攻撃とともに増える心拍数、逆に負け始めると心拍数UP!?逆転の瞬間に心拍数MAX!ゲームが分からずとも、選手といっしょになってハラハラドキドキ、ライブ感を楽しめる、興味深いツールである。eスポーツ観戦体験をアップデートするシステムとして、今後の展開が期待できる。

eスポーツ配信に向けた今後の工夫

以上の実例から見られるように、eスポーツ配信において最も影響力の大きい“視覚”を通して、臨場感やエンターテインメント性を高めていく工夫は、AR・VR技術や様々なデジタルテクノロジー革新によってさらに進んでいくことが予想される。それにより、ますます熱量のあるライブ感の演出が可能となるであろう。

では、共感性と意外性は、どのように魅せていくべきか。

ここが、今後のeスポーツオンライン配信で、実は肝となってくるところではないだろうか。ゲーマーとゲームをプレイしない人たちとでは、観戦を楽しめるかどうか、という点でまだまだ大きなギャップがあることも事実である。野球やサッカーのように、自らがプレイしなくとも観戦は好き、という観戦ファンをもっともっと増やしていく必要がある。そこに至るには、選手やチームへの共感と意外性の演出が必要となる。

eスポーツの意外性とは、ゲームの展開の中で楽しむもののほか、ゲーム外でプレイヤー自身に求めることもできる。これまでの成績やテクニックの高さに関わらず、ここまでにあれだけの練習をしてきた人なのだから、もしかして強者にも勝てるかもしれない、という期待を抱かせるーこの意外性は、その人自身を応援したい、という共感性に近いものがある。

つまり、このゲームがおもしろい、ということからさらに一歩踏み込んで、選手やチーム、あるいは実況キャスター自体への関心を高め、そのファンを生み出していくことが、幅広い視聴者にeスポーツを楽しんでいただくための突破口となる。その選手はどうすごいのか、何をしてそうなったのか、何を目指しているのか、この人の実況はつい聞いてしまう・・・どんな人なんだろう?〜その人自身やチームの生き様に迫る“個”を捉えた見せ方で配信を構成していけば、視聴者のシンパシーはいやが上にも高まり、競技を見た後の満足度も高くなるだろう。

「ライブ感」 「共感性」 「意外性」

この3つを複合的かつ印象的に見せることが、eスポーツ配信をよりいっそう魅力的なエンターテインメントへと押し上げるカギとなる。eスポーツの配信コンテンツとしての未来は・・・明るい!!

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